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医療

オミクロン株まん延、新型コロナ対策の課題

九(jiu)州大学教授 馬場(chang)園明(ming)

2022/03/09

オミクロン株まん延、新型コロナ対策の課題

 岸田文雄内閣は3月4日、東(dong)京都、神奈(nai)川(chuan)県(xian)、千葉、埼玉など18都道(dao)府県(xian)に適用(yong)している新(xin)型コロナウイルス感(gan)染症の「まん延防止(zhi)等重点措(cuo)置」を3月21日まで延長した。変異(yi)株(zhu)、オミクロンの感(gan)染拡大で重症者が増えており、医療機関の病床使用(yong)率(lv)の高止(zhi)まりに対応する。

 デルタ株が中心だった第5波は、「20代」「20歳未満」の新規感染者がやや多い傾向があった。一方、オミクロン株が中心になった第6波では、「20歳未満」の新規感染者が他の世代を引き離して激増。世代間の格差がこれまでになく大きくなっている。【1】

 第6波の1週間あたりの新規感染者数は、第5波の新規感染者数の2~5倍にのぼっており、オミクロン株の感染力が強力であることを示す。また、「20歳未満」の新規感染者が激増している背景には、未成年者のワクチン接種が進んでいないことがあると思われる。【1】【2】(図1)

 日本国内で新型コロナワクチンの3回(hui)目(ブースター)接種(zhong)が進んでいないのは、過去(qu)2回(hui)のワクチン接種(zhong)で起きた発熱(re)、頭痛、筋(jin)肉痛などの副(fu)反応(副(fu)作用(yong))が大きく、ブースター接種(zhong)の副(fu)反応は「さらに強いのではないか」という懸念があるようだ。

 また、同じmRNAワクチンでもモデルナ製(zhi)(zhi)ワクチンを避ける人が多いと言われる。過去(qu)(qu)2回の接種(zhong)ではモデルナの方がファイザーより副反(fan)応が強いという傾(qing)向があった。そうした理由もあり、モデルナ製(zhi)(zhi)ワクチンのブースター接種(zhong)の投与量は過去(qu)(qu)2回の半(ban)分の50マイクログラムとされている。

 アメリカにおけるファイザー製ワクチンとモデルナ製ワクチンの副反応(ying)を比較した調査によれば、「ファイザーの投与量を従来通り」「モデルナの投与量を従来の半分(fen)」にしたブースター接種については、ファイザーとモデルナの副反応(ying)が発生(sheng)した割合(he)は、ほぼ同等だった。(図2)

 モデルナ製ワクチンのブースター接種(zhong)の投与量を半分にすることについては、当初、新型コロナウイルスへの感染や重(zhong)症(zheng)(zheng)化を予(yu)防する効果も低減(jian)するのではないかという懸念もあったが、これまでの医学データでは感染や重(zhong)症(zheng)(zheng)化を予(yu)防する効果の低減(jian)は認められていない。

 厚生労働省研究班の調査によれば、日本国内でファイザー製ワクチンを3回接種した人(396人)とモデルナ製ワクチンを3回接種した人(233人)のブースター接種後の抗体価を比較したところ、ファイザー=54.1倍、モデルナ=67.9倍と投与量を半分にしたモデルナの方が効果の高いことが分かった。【3】

 この調査におけるブースター接種の副反応については、「ファイザー3回接種者の39.8%、モデルナ3回接種者の68.0%に発熱症状があった」「ファイザー、モデルナともブースター接種については、高齢者の発熱頻度が低い」ことが明らかになった。【4】

 新型コロナワクチンのブースター接種を行い、時間(jian)の経過とともに低下(xia)する抗体価を高める試みは、モデルナ製ワクチンの投与量を半(ban)分にすることにより、感染や重症化(hua)を予防する効(xiao)果を維持しつつ、副反応(ying)の発生頻(pin)度を少なくすることに成功しているといえる。

 ただし、新型コロナウイルスにはオミクロン株を始めとする変異株が次々と発生しており、今(jin)後は新型コロナウイルスの常在化を前提にした長期的な予防戦略を考えなければならない。その際、予防戦略の柱となるのは新型コロナワクチンの無(wu)料(liao)接種(zhong)の継続である。

 重(zhong)症(zheng)化のリスクが大きい高(gao)齢者や基礎疾患のある人については医療機関を受診(zhen)した際(ji)にワクチンも接種できるような仕組みをつくることが望(wang)(wang)ましい。また、時間の経過とともに抗体価は低下(xia)していくので、ワクチン接種の望(wang)(wang)ましい頻度を示す必要(yao)もある。

 新型コロナウイルスが未(wei)知のウイルスであるのと同じく、mRNAワクチンによる短(duan)期、中長期の副反(fan)応が分からない以上、年齢(ling)別、男女別、既往症別の医学(xue)データの情報公開を前提に、ワクチンを接種するかどうかは最終(zhong)的に本人の選択に委(wei)ねざるを得(de)ない。

 オミクロン株が中(zhong)心(xin)の第6波では、世(shi)代(dai)(dai)間の利害の不(bu)一(yi)致(zhi)が顕在化する。重(zhong)(zhong)症(zheng)化率が高い高齢世(shi)代(dai)(dai)はワクチンの副(fu)反応が弱いことが多く、ワクチン接(jie)種のメリットが大きい。一(yi)方、重(zhong)(zhong)症(zheng)化率が低い若い世(shi)代(dai)(dai)は副(fu)反応が強いことが多く、ワクチン接(jie)種のメリットは少(shao)ない。若い世(shi)代(dai)(dai)にワクチン接(jie)種をどう働きかけるかは大きな課題である。

 

 ばばぞの・あきら 1959年鹿児島県生まれ。九州大(da)(da)学(xue)(xue)医(yi)学(xue)(xue)部卒(zu)。米ペンシルバニア大(da)(da)学(xue)(xue)大(da)(da)学(xue)(xue)院(yuan)、岡山(shan)大(da)(da)学(xue)(xue)医(yi)学(xue)(xue)部講師、九州大(da)(da)学(xue)(xue)健康科学(xue)(xue)センター助教授(shou)を経て、九州大(da)(da)学(xue)(xue)大(da)(da)学(xue)(xue)院(yuan)医(yi)学(xue)(xue)研究院(yuan)医(yi)療経営・管理学(xue)(xue)講座教授(shou)。岡山(shan)大(da)(da)博士(医(yi)学(xue)(xue))。

 

【1】厚生労(lao)働(dong)省、データからわかる-新型コロナウイルス感染(ran)症情報-

【2】20歳以(yi)上の新規感染者の減少が緩やかなのもブースター接種が進んでいないことも関与(yu)していると考えられる。

【3】Hause A, et al, Safety Monitoring of COVID-19 Vaccine Booster Doses Among Adults — United States, September 22, 2021–February 6, 2022, MMWR, February 18, 2022 / 71(7);249–254

【4】厚生労働省専門(men)部会(hui)、2022年2月(yue)18日

 

(写真:AFP/アフロ)

 

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